がんを予防するワクチンがあることをご存知ですか?
ウィルスの感染が原因で起こる子宮頸がんには、予防ワクチンがあります。進行すると妊娠の機会を失うだけでなく、命まで失う可能性がある子宮頸がんの予防について考えてみましょう。
若い女性に多い子宮頸がん
子宮がんには、子宮入り口に出来る子宮頸がんと、子宮内膜に出来る子宮体がんがあります。20〜30代の女性がかかるがんの中で、一番多いのが子宮頸がんです。逆に子宮体がんは、閉経後の女性に多い傾向があります。
子宮頸がんの大半は、ヒトパピローマウィルス(HPVウィルス)というウィルスの感染が原因です。このウィルスはごくありふれたウィルスで珍しいものではありません。性交渉によって男性から女性へ、またその逆に女性から男性へと感染していきます。すなわち、性交渉の経験のある女性は、子宮頸がんになる可能性があるのです。そのため、このウィルス感染を防げれば、子宮頸がんになる可能性がぐんと低くなります。
子宮頸がんは進行すると、子宮を失って妊娠・出産の機会を失ったり、命を失ってしまう可能性があります。子宮の入り口部分は、婦人科の診察で直接観察することができ、細胞や組織を採取することも、ほかの部位に比べて簡単です。したがって、がんになる前の病変(異形成)のうちに発見して治療することにより、がんへの進行を未然に防げます。
このように、子宮頸がんはワクチンでウィルス感染を防ぎ、定期健診で早期発見に努めることで、ほぼ予防できるがんといえるのです。
子宮頸がんワクチンQ&A
| HPVウィルスとは、どんなウィルスなの? | |
| HPVウィルスとは、いぼを形成するウィルスで、現在、120以上の種類が確認されています。この中で、とくに悪性腫瘍に関わりの深い約15種類を発がん性HPVと呼びます。子宮頸がんでは、HPV16とHPV18の2種類が深く関わっているといわれます。 |

| HPVウィルスに感染したら、必ず子宮頸がんになってしまうの? | |
| HPVウィルスに感染しても、多くの場合は免疫力によってウィルスは消滅します。ところが、時折、ウィルスが残ってしまうことがあります。長期間ウィルス感染の状態が続いたり、何回もウィルス感染を繰り返したりすると、子宮頸部の細胞が変化して子宮頸がんを引き起こします。HPV感染者の中で、1000人につき1〜2名が子宮頸がんを発症すると考えられています。 |

| ワクチンを受けると、絶対に子宮頸がんにはならないの? | |
| 現在、日本で認可されているワクチンは、子宮頸がんに関わりの深いHPV16と、HPV18の感染を予防するものです。このワクチンで約70%の子宮頸がんが予防できるとされています。残り約30%の子宮頸がんは、別のウィルスによるもの、ウィルス以外の要因によるものです。またワクチン接種時、HPVウィルスによりすでに粘膜に病変が起きている場合には、子宮頸がんの予防効果はありません。子宮頸がんワクチンを受けていても、子宮頸がんになる可能性はありますので、子宮がん検診を受けることは大切です。 |

| 子宮がん検診で早期発見ができるのなら、ワクチンは必要ないのでは? | |
| がん細胞ができる前には、異常な細胞ができます。このがんになる前の異常な細胞変化を異形成といいます。異形成の段階で発見できれば、がんの発生は防げますが、健診で完全に発見できるとは限りません。ワクチン接種により、異形成をできるだけ防いだうえで、健診で早期発見に努めることが、予防効果を高める方法として有効だと考えられます。 |

| ワクチンの安全性は? | |
| 薬と同じように、治験という安全性を詳しく検討する過程を経て認可されています。もちろん、手放しで安全という訳ではなく一定の副作用はあります。副作用で一番多いのは、摂取部位の痛み、かゆみ、腫れです。疲労感、脱力感、頭痛、下痢が起こることもあります。また、ごくまれにショック症状を起こすこともあります。ただし、ショック症状はどのワクチンでも起こる可能性があり、特別なものではありません。 |

| ワクチンは、いつごろ受けたらいいの? | |
| HPVウィルスは、性交渉で感染すると考えられているので、ワクチン接種は、性交渉経験前がもっとも効果的であるといわれています。接種対象は10歳からです。また、妊娠をしている場合、ワクチン接種はできません。 |

| ワクチンは1回受ければいいの? 費用はいくらくらいかかるの? | |
| ワクチンは半年間で3回の接種が必要です。費用は病院によって異なりますが、3回で4〜6万円位です。2010年1月に、中学1年生〜高校1年生相当の年齢のお子さんに対して費用の助成が始まりました。それによってワクチンの需要が高まり、ワクチンが足りない状況になっています(2011年7月現在)。この年齢以外の方がワクチン接種を希望されても、受けられない(ワクチンが足りない)可能性があります。状況は常に変わりますので、接種を希望される方は直接医療機関に問い合わせてください。 |

| すでにHPVウィルスに感染していたら、ワクチンの効果はないの? | |
| 多くの場合、HPVウィルスに感染しても自然にウィルスは排除されますが、再度感染する可能性があります。何度も感染を繰り返すことで、がんになる可能性は高まります。ワクチン接種により再感染を防ぐことができるので、がんの予防効果は期待できます。なお、日本産婦人科医会では、45歳までの女性の接種を推奨しています。 |

| 子宮頸がん予防ワクチンで、不妊症になることがあるの? | |
| 子宮頸がん予防ワクチンは、その効果を高めるためにアジュバントと呼ばれる免疫増強剤を含んでいます。「アジュバント」→「抗体産生を高める」→「精子や卵子の抗体が産生される」→「精子や卵子が標的となる」→「精子や卵子が減って妊娠しにくくなる」という理論で、アジュバントが、不妊症を引き起こすという説を唱える人がいます。ウィルスを攻撃する抗体産生と、精子や卵子を攻撃する抗体産生は同じではないのに、同じとしているところがおかしな結論を導いています。少なくとも今の段階では、子宮頸がん予防ワクチンによって、不妊となったケースは報告されていません。 |
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